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藤の屋文具店

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確率


             確率

 高校までの数学で習っているはずなのに、まるで理解できていな
い人が多いのが、確率や統計に関することである。ほんとはとても
簡単、というか単純なことなんだけど、日常の常識というか思い込
みにとらわれているもので、簡単な原理をどうしても受け入れられ
ない、そういう人がとても多いみたいで、歳をとって「おれは物知
りだ」なんて自信を持っている人だと、教えてあげても絶対に受け
入れなかったりする。なまじ簡単なものほど、ほんとに理解するの
は困難なものなのかも知れない。

 サイコロを振って、たとえば「1」の目が出る確率はどれだけで
しょう、という問題なら、たぶん全員が「6分の1」と正解できる
と思う。わかりますね? で、次の問題。サイコロを5回振って、
「1,4,3,2,6」と出ました。次に振って「5」の出る確率
はどれだけでしょうか、という質問になると、とたんに怪しくなっ
てくる。さすがに「100%」なんて答えはありえないと思うのか、
「6分の5」とかいった妖しい計算をする人続出である。

 まっとうな高校生の人ならお分りの通り、正解はやはり「6分の
1」である。当たり前だ。サイコロには記憶装置は搭載されていな
いので、「ここいらでそろそろ5をださないとおかしい」なんぞと
気を回して操作したりはできない。たとえ5回とも「5」の目が出
たあとだって、5の出る確率は6分の1なのである。ちなみに、連
続して5回、同じ目の出る確率は、6分の1の4乗で1296分の
1であり、その次にまた同じ目が出るのは6分の1であるから、6
回連続同じ目が出るのは7776分の1になるわけだ。これは、全
部が「同じ目」の確率で、それが特定の数、たとえば「5」である
のはさらに6分の1、すなわち46656分の1となる。

 そんなことは偶然には起こりえない、と考えるのは、頭の中だけ
でものごとを考えておしまいにする人の非科学的な信仰で、実際に
サイコロを1000回も振ってみれば、それがただの思い込みであ
ったことが証明される。同じ数が二度三度と続くのは、わりとよく
あることで、たとえば3回同じ数が続く確率は、36分の1である
のだが、これは、連続したみっつの数のかたまりについての確率な
ので、たとえば102回振れば、一番目の数からみっつ、二番目の
数からみっつ、というふうに100個のかたまりの種類があるので、
36分の100回、出現が期待される。すなわち、サイコロを10
0回振れば、続けて同じ数が3回出ることが、2回か3回期待でき
るわけである。

 日常の世界でこれを考えてみる。打率3割の打者が、たとえば今
夜の試合で3打席とも凡退だったとする。4打席目に打つ確率はど
れだけでしょうか。正解は、やはり3割である。確率の理解できて
いない人ほど、「確率から行って今度は打つ!」と答えるのは、な
かなか皮肉なものである。有能な監督だったら、むしろ今度もダメ
かも、なんて思って代打をだすかも知れない。間違った確率理論よ
り直感のほうが、まだしも勝負事には向いているものだ。

 見る人の思い込みで誤解しやすい問題もある。たとえば、「1,
2,3,4,5,6」の順に目の出る確率と「4,1,3,2,6,
5」と出る確率がどちらが大きいか、答えは、どちらも同じである。
「1,2,3,4,5,6」が特別な順番であると思うのは、数学
を知っている人の感覚であって、大自然の営みの前には、ただの模
様にすぎない。この問題を、41-3265の電話番号の人が見た
ら、どちらも特別な順番に思えて、さらに迷うか、あるいは正解を
引き出しやすいかも知れないねぇ。



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